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大阪府立大学 生命環境科学研究科 応用生命科学専攻
植物栽培生理学研究グループ
2022年3月までの旧ホームページです。新ページへお越しください。
新学術領域研究
作物の安定多収と環境保全を両立する栽培学的研究
地球規模で資源・環境・食料・エネルギーに関する問題を抱える中,安定生産と環境保全を両立できる作物栽培技術の確立を目指しています.フィールドで研究することで栽培上の問題点を肌で感じ,生産現場に生かせるような栽培技術の開発を目指して一緒に研究しましょう.
コムギの収穫風景 (2016.5)
農耕地における土壌微生物の動態と作物の養分吸収との関係について
土壌の性質は化学性・生物性・物理性に分けることができます.化学肥料に依存した発展した近代農業から物質の循環機能を高めた有機肥料主体の農業へのシフトが望まれる現在においては,土壌の化学性に加えて,生物性や物理性にも着目して研究を進めていくことが重要です.土壌の生物性は栽培する作物や土壌に投入される有機物によって変化します.この変化は栽培する作物へ影響することが予想されますが,十分に把握されていないのが現状です.土壌微生物が作物に及ぼす影響は共生菌や病原菌など直接的に作物に働きかける場合と有機物の分解など物質循環によって間接的に作物に影響する場合に分けられます.これら両者の側面から微生物の群集構造と作物生産との関わりについて研究しています.
農耕地土壌から排出される亜酸化窒素(N2O)に関する研究
温室効果への寄与が大きいN2Oは人為起源としては農耕地土壌が主要な排出源となっています.資源循環型の作物生産の方策の一つとして,有機質肥料や緑肥など有機物の利用が推奨されていますが,N2Oが土壌微生物によって生成されることを考慮すると,有機物の投入によって増加する微生物量とN2Oの排出量との関係を明らかにすることは重要です.これまでの研究において有機物として緑肥を施用した場合,施用直後では土壌微生物の急激な増殖によって好気呼吸による二酸化炭素の排出量が著しく高まり,その後遅れて嫌気呼吸にともなうN2Oの排出が高まる傾向がみられています.現在,N2O排出を抑える有機物の施用方法について研究しています.
土壌蓄積リンの溶解に関与する土壌微生物とリン吸収に優れる資源作物に関する研究
海外から輸入されてくるリン鉱石
リン肥料の原料となるリン鉱石の枯渇を背景に土壌蓄積リンの可給化を促すことや作物のリン利用率を向上させることが重要です.現在,土壌蓄積リンの溶解に優れる微生物やリン溶解能を有する根粒菌,植物のリン吸収を助けるアーバスキュラー菌根菌の研究に取り組んでいます.また,植物が土壌中でパッチ状に存在するリンを獲得するために変化させる根系の変化についても研究しています.
灰色低地土では,土壌と大気のガス交換を妨げる土壌表面のクラスト(粘土皮膜)層の形成によって作物の出芽阻害だけでなく,亜酸化窒素の生成の助長,有機物分解時に発生するガス蓄積による根の呼吸阻害などの問題が起こります.これらの問題解決に向け,クラスト形成を抑止するための有機物の施用方法を検討し,亜酸化窒素や二酸化炭素のガスフラックス,土中の低級炭化水素の発生量,脂肪酸組成解析による微生物バイオマス量,作物側の根の呼吸活性や根系発達などの応答反応を評価することで有機物施用の効果を検証していきたいと考えています.
水田転換畑土壌におけるクラスト(粘土皮膜)形成の抑止に関する研究
耕作放棄地への導入に適した資源作物の探索および栽培の実証研究
耕作放棄地で作物を栽培するにあたり,地域や環境にあった作物種の選択,それらの作物の収量性や地力への影響,土壌微生物生態や雑草害などについて不明な点が多々挙げられます.本学が位置する堺市においても耕作放棄された農地が多く存在することから,現在,堺市の太平寺地域の耕作放棄地を例にソバや景観作物を輪作体系に取り入れた栽培試験を実施しています.耕作放棄地におけるこれらの栽培特性に関する知見を集積し,地域の農業振興に貢献したいと考えています.
大阪産エダマメの安定生産と高付加価値による普及促進に関する研究
八尾市は近畿圏内トップクラスのエダマメの収穫量を誇る一大産地として知られており,なにわ特産品として販売されているエダマメは卸売市場からも高く評価されています.八尾産エダマメのブランド価値をさらに高め,販売を強化していくためには生産量の増大と品質の安定化が求められます.現在,栽植密度や摘心処理によって群落を制御し,収量や品質を高める研究を行っています.また生産現場においてエダマメの収量変動要因の解析や根粒機能の評価を行っています.
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